ナタリー PowerPush - 劇場版BUCK-TICK ~バクチク現象~

25周年イヤー完全密着映画の魅力を徹底解剖

BUCK-TICKのデビュー25周年記念映画「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ I」が6月15日から、「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ II」が6月22日から連続公開される。本作品はバンドのデビュー25周年イヤーである2012年の活動に密着したもので、最新アルバム「夢見る宇宙」制作過程、ライブやツアー、主催フェスの表舞台や裏側などさまざまなシーンを目にすることができる。BUCK-TICKならではの独特な緊張感から、25年以上にわたり同じメンバーで活動してきた彼らならではのリラックスした場面まで、この映画でしか観ることができない映像が満載だ。

ナタリーでは劇場公開に先がけ、この映画の魅力と見どころに迫った。このテキストを通じて、「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~」の真髄に触れてほしい。

構成・文 / 西廣智一

 
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世代を超えてリスペクトされ続けるバンドの魅力

BUCK-TICKは1987年のメジャーデビューから現在まで、常に日本の音楽シーンの第一線でさまざまな音楽的チャレンジを続けてきた、数少ないバンドの1つだ。80年代後半に勃発したバンドブームより前にデビューし、ブーム最盛期には「JUST ONE MORE KISS」「悪の華」「スピード」などのヒット曲を連発。きらびやかなビジュアルと鋭角的なサウンド、親しみやすいメロディでロックファンを魅了した。

このバンドの凄みはこれだけではない。その時代ごとに最先端のサウンドを取り入れつつ、常に進化&深化を繰り返してきたのだ。デビュー当初のビートロック然としたサウンドからゴス、ニューウェイブテイストの導入(3rd「TABOO」、4th「悪の華」)、テクノやポストパンク要素の採用(5th「狂った太陽」、6th「darker than darkness -style 93」)、さらにはハードロックサウンドとアンビエントの並列(7th「Six/Nine」)やデジタルロック、ドラムンベースへの接近(9th「SEXY STREAM LINER」)まで、メロディのキャッチーさはそのままに、バックトラックでは飽くなき挑戦を続けている。日本のメジャーシーンで活躍するバンドとしては非常に希有な存在と言える。

そんなBUCK-TICKから影響を受けたアーティストは数多く、そのジャンルもロックに限定されない。彼らを支持するアーティストたちが一堂に会したトリビュートアルバムがこれまでに2作品(「PARADE~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~」「PARADE II ~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~」)リリースされている。ここには清春やJ、abingdon boys schoolをはじめとする1世代下のアーティストから、ムックやAcid Black Cherry、BREAKERZなど近年のヴィジュアル系シーンから誕生したバンド、AA=、Pay money To my Painというラウド寄りのバンド、さらにはPOLYSICS、KEN ISHII、THE LOWBROWSといったアーティストまで、バラエティに富んだ面々が参加。こういった顔ぶれからも、世代を超えてリスペクトされ続けるBUCK-TICKというバンドの多様性がおわかりいただけるだろう。

バンド同様にストイックさを追求した作風

そんなBUCK-TICKの25周年イヤーに1年間完全密着したドキュメンタリー作品「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~」は、BUCK-TICKというバンド同様、非常にストイックなスタイルとなっている。ナレーションを一切入れず、テロップも日付と場面説明のみ。近年のドキュメンタリー番組と比べて異彩を放つそのシンプルな作りは、観る者に余計なイメージを植え付けることなく、ストレートにBUCK-TICKの世界に浸れる内容となっている。

まず前編に当たる「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ I」では、2012年にリリースされたシングル2作品(「エリーゼのために」「MISS TAKE ~僕はミス・テイク~」)とアルバム「夢見る宇宙」のレコーディングに密着。レコーディング現場で楽曲が進化していく過程やメンバーとスタッフとのやり取り、メンバーの素の表情など、これまでインタビューなどでしか知ることができなかった彼らの制作現場を実際に目にすることができる。過去25年間その創作の裏側を公開してこなかった彼らが、どのようにして唯一無二の世界観を持つ作品を完成させるのかを知ることができるという意味でも、この映像は非常に価値の高いものだ。映画を観終えたあとにアルバム「夢見る宇宙」などを聴き返すことで、これまで感じられなかった、見えなかった世界を新たに発見することができるかもしれない。

映画の中~後半では昨年6月の東京・日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブ「at the NIGHT SIDE 2012」と、全国対バンツアー「TOUR PARADE 2012」の様子を紹介。雨に見舞われたひさしぶりの野音公演、そして若手から同年代の盟友までさまざまなジャンルのアーティストたちと共演した「TOUR PARADE 2012」でのライブ映像からは、デビュー25周年を迎えたバンドの余裕が感じられる。

ツアーバンドとしての“今”を捉えた貴重な映像

映画の後編「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ II」はBUCK-TICKのライブバンドとしての側面を大きくフィーチャーした、前編とはひと味違った内容。映画はまず、2日間にわたり開催された野外イベント「BUCK-TICK FEST 2012 ON PARADE」の映像からスタートする。共演アーティストたちの演奏を温かい眼差しで見守るBUCK-TICKのメンバー、共演者のステージに飛び入りする今井寿(G)の姿、あいにくの雨となってしまったイベント2日目の様子が臨場感あふれる映像で描かれている。そして「TOUR 夢見る宇宙」の映像では、ライブ直前のリハーサルや楽屋での様子、ステージ上のBUCK-TICKに熱狂する観客、メンバーの演奏シーンも含まれている。メンバー同士だからこそ見せるリラックスした表情は必見だ。

この2作品を観ることで、「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~」という映画が市販されているライブ映像とは異なる視点で捉えられたものであることは、ファンならずとも理解できるはずだ。なぜ彼らが25周年という区切りのタイミングにこういった映像を残し、映画として世に送り出そうとするのか。その理由を劇場に足を運んで、その目で確かめてほしい。

なお各作品のエンディングには、この映画のために制作された新曲2曲がテーマソングとして使用されている。櫻井が作詞、星野が作曲を手がけた「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ I」のテーマソング「LOVE PARADE」は、BUCK-TICKのロマンチックな側面を強く打ち出したミディアムチューン。一方「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ II」のテーマソング「STEPPERS −PARADE−」は作詞を櫻井と今井、作曲を今井が担当したグラマラスなロックンロールナンバーに仕上がっている。この映画を通じて25周年の総括とともに、デビュー26年目に突入したバンドの“今”をひと足先に体感することができる。

劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~

2012年にデビュー25周年を迎えたBUCK-TICKの、記念すべき1年間に密着したドキュメンタリー作品。2011年12月29日の東京・日本武道館公演から翌2012年前半の活動を追った「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ I」と、同年9月に千葉・千葉ポートパーク特設野外ステージで開催された野外イベント「BUCK-TICK FEST 2012 ON PARADE」、10~12月に実施された全国ツアー「TOUR 夢見る宇宙」を追った「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ II」の2作品で構成されている。

(c)2013 BUCK-TICK MOVIE PROJECT

「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ I」

2013年6月15日(土)から2週間限定公開

「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ II」

2013年6月22日(土)から2週間限定公開

前売り券:各2300円 / 当日券:各2500円

上映劇場
  • 東京都 新宿バルト9
  • 神奈川県 横浜ブルク13
  • 千葉県 Tジョイ蘇我
  • 群馬県 109シネマズ高崎
  • 宮城県 109シネマズ富谷
  • 新潟県 Tジョイ新潟万代
  • 愛知県 109シネマズ名古屋
  • 大阪府 梅田ブルク7
  • 京都府 Tジョイ京都
  • 兵庫県 109シネマズHAT神戸
  • 広島県 広島バルト11
  • 福岡県 Tジョイ博多
  • 北海道 ディノスシネマズ札幌劇場
BUCK-TICK(ばくちく)

櫻井敦司(Vo)、今井寿(G)、星野英彦(G)、樋口豊(B)、ヤガミ・トール(Dr)の5人からなるロックバンド。現在に至るまでメンバーチェンジをすることなく活動を続けている。1987年にメジャーデビューし、翌1988年にシングル「JUST ONE MORE KISS」のヒットにより本格的なブレイクを果たす。ダークな世界観を追求する一方で、グランジやブレイクビーツ、ドラムンベース、エレクトロニカ、ポストロックなど常に音楽要素を積極的に取り入れている。2005年には初のトリビュートアルバム「PARADE ~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~」をリリース。2007年には同アルバムに参加したアーティストたちとともに、初の主催フェス「BUCK-TICK FEST 2007『ON PARADE』」を横浜で開催して大成功を収めた。デビュー25周年を迎える2012年には、新レーベル「Lingua Sounda(リンガ・サウンダ)」を設立。シングル「エリーゼのために」「MISS TAKE ~僕はミス・テイク~」、トリビュートアルバム「PARADE II ~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~」に続いてニューアルバム「夢見る宇宙」をリリースした。さらに9月22、23日には千葉ポートパークにて主催フェス「BUCK-TICK FEST 2012 ON PARADE」を開催。2013年6月にはデビュー25周年イヤーに密着したドキュメンタリー作品「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ I」「劇場版 BUCK-TICK ~バクチク現象~ II」が公開される。